看護師の仕事では、多くの患者の健康状態や治療の進捗把握と適切なケアの提供が求められます。
それを実現するための業務の一つが、交代時に次の担当者へ必要な情報を伝える申し送りです。しかし、一部の医療現場では申し送りを廃止する動きが見られます。
その背景としてあるのが、申し送りが時間を大きく取りすぎることです。
特に繁忙期は看護師が患者のケアに費やせる時間が限られているため、申し送りに多くの時間を割くことは看護業務に支障をきたす場合があります。そこで業務の効率化を図る目的として申し送りの短縮、あるいは廃止する方向で改善が図られているのです。
次に情報の伝達方法が多様化していることも影響しています。
最新の医療情報システムの導入により、患者の状態や治療履歴、ケアの必要性などがリアルタイムで共有できるようになりました。これにより口頭での申し送りが必要なくなるケースも出てきています。
加えて申し送り自体が、時には情報の伝達漏れや誤解を生む原因になっているケースがあるのです。
口頭での情報伝達はその瞬間の集中力や理解度に左右されやすく、重要な情報が正確に次の担当者に伝わらないリスクもあります。このような課題を回避するために、書面や電子データでの情報伝達に移行して申し送りを廃止する方向に進んでいます。
看護師の申し送り廃止は、いかに効率的かつ安全に患者ケアを行うかという課題に直面した一つの解決策です。
技術の進歩と医療現場の効率化へのニーズが、このような変化を促しています。看護師は患者一人ひとりにより多くの時間を割けるようになり、医療サービスの質の向上につながることが期待されています。